高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン

人工的水分・栄養補給の導入ガイドライン

ー ワーキンググループ試案 ー




 1.関連するいろいろな分野の担当者で話し合って決めようというのは一見もっともに思うが、人工栄養を導入した場合の予後・寿命を推定することは、癌などの致死的病気以外は困難である。不確定な状況の中で、皆の意見をまとめ、結果に対しても責任をもつのは誰か。話合いは聞こえはいいが、無責任になりやすく、責任の所在が不明である。医療行為を考えない場合では、家族の責任のもと、医療従事者のアドバイスを受けて介護を行うことはできよう。
 2.高齢者のQOLを考えると、認知症だから生きる価値がない・・・?寝たきりで話せないから生きていても可哀想・・・。植物状態だから生きていても無意味・・・。などの考えが浮かぶ。しかし、「耳元で名前を呼んだら目を開けた。きっと声が聞こえた。」と、喜んでいる家族もいるのに、人工栄養を導入するか、しないかの基準をQOLから決めることは出来ないと思う。
 3.人工的水分・栄養の導入を行わないことも許されるケースはあると思う。それは、家族の深い愛情から導き出された結論で、医療従事者も理解できる場合であろう。その行為は介護の放棄・放任という虐待行為と紛らわしいので注意が必要であろう。