癌 の 告 知 |
現在、癌と診断されたとき、癌を理解できる人の場合は、ほぼ100%、癌の告知が行われる。早期癌でも末期癌でも同じである。 それは、Informed consent(インフォームド・コンセント 「説明と同意」)にもとづき治療行為が行われているからである。 患者さんが告知を希望するか、しないかは考慮されない。大多数の人は告知を当然と受け入れているようである。 少し前の「隠す」状況からなぜこれほど急激に「告知」へ変化したのであろうか?その理由を考えてみよう。 @ 癌は必ずしも致死的な病気ではなくなった。 A 癌の治療には患者の協力が不可欠。 B 患者の意見、権利を尊重するようになった。 C 告知して、同意のもとに治療がなされないと、医療訴訟で、医師は負ける。 診断された当初、患者さんには希望がある。手術などの治療でによって、「癌だけどきっと治るだろう。」と信じる。 実際に治癒する人も多い。しかし、癌が転移している可能性のある人や、取りきれなかった人は、その旨説明され、 抗がん剤の治療を勧められる。告知が普通になった今、「癌」に対し、少しでも治癒する可能性を求め、人は抗がん剤の治療に 望みをかける。確かに抗がん剤も次第に効くようになってきているが、まだまだ、癌の治療は難しい。 抗がん剤のさらなる進歩を期待しよう。 一方で、次第に悪化してゆく場合には、告知された人の中には、精神的に次第に追い詰められてゆく人もいるだろう。 「告知」には精神的サポートが同時に行われるべきだが、現状は「告知」のみが先走りしているように思う。 難しい問題であるが、真剣に考えなければならない。 |