尊厳死とは


 一般の方が考えるほど、尊厳死は簡単ではない。

 尊厳死の定義は
        「人間の尊厳を保って死ぬこと」
であり、その宣言として
        「不治かつ末期になった場合、延命処置を拒否する」
とある。

 癌で助からない。これはかなりわかりやすい例である。
しかし、現実は単純ではない。さまざまな疑問点がある。

   「不治の病とは癌だけであろうか?」 
   「本当に治療法はないのか? 治療をあきらめていいのか?」
   「延命処置とは何か?」
   「人間らしく死ぬとはどういうことか?」


次の例を考えてほしい。

     年齢 80歳
     痴呆がひどく、意思疎通困難
     寝たきり
     尊厳死などの本人の意思は不明

    この方が肺炎になった。苦しそうな呼吸をしている。
    酸素不足状態を改善し、喀痰の排出を容易にするために

    人工呼吸器を使って治療すべきか?

いろいろな考え方がある。

  @  高齢であり、自分で呼吸が出来なくなったら、
     寿命と考え、呼吸器までつける必要はない。

  A  痴呆、寝たきりで人間としての基本的な機能が失われつつあり。
     人工呼吸器は人の尊厳を奪うもので認められない。

  B  人工呼吸器は患者にとって、限りない苦痛の延命治療であり、反対。

  C  呼吸苦の状態はかわいそうだ。たとえ治らないかもしれないが、
     呼吸器をつけ、呼吸を楽にして、精神安定剤なども投与し、苦痛をとりながら、
     治療をすべき。

  D  助かる可能性がある。呼吸器をつけ、最後まで治療すべきだ。
     この例は尊厳死とは無関係だ。 

  さて、あなたはどの考えですか。これ以外にもいろいろな考えがあるでしょう。
  現実にはこれに類したケースが最も多い。

  正解はないかもしれないが、このHPでは、尊厳死のことを念頭に、この問題を考えていきたいと思う。

              平成16年1月