看護婦さんは白衣の天使?



 (北海道新聞 平成19年5月21日)

 これは北海道新聞の記事である。この記事を読んで、ずいぶん前のことが思い出されました。
僕の詰め所に看護婦さんの娘が新卒の看護婦さんとして配属されてきました。看護婦さんの家で生まれ、本人も看護婦さんを目指したということなので 、その新卒のナースに聞いてみました。

  「いよいよ白衣の天使だね。」
その答えは予期に反したものでした。
  「看護婦は白衣の天使ではありません。」
ちょっとびっくりして
  「え! 違うの??」

僕は、笑って、それ以上は聞くのはのをやめました。僕の期待は、やっぱり「そう(天使)なりたいわ。」とか、せめて「私には無理よ。」 という答えであったように思う。

 彼女が何を言いたかったのか、その後も詳しく聞かなかったのでわかりませんが、  いま振り返り、推測すると、「職業としてナースを選んだのであって、 白衣の天使になるためにナースを選んだわけではない。」と言いたかったような気がします。実際にまわりの看護婦さん(最近は男性の看護師さんも多くなったが)を見渡すと、しっかりもの、おっちょこちょいな人、優しい人、ちょっときつい人などさまざま。忙しい看護の仕事で、仕事に追われ、とても白衣の天使になれるような状況ではないように思う。今の世の中、白衣の天使になって、献身的に働きなさいとは無理な注文でしょう。

 そんな気持ちでいた最近でしたから、この新聞記事を読んで、ちょっとうれしくなりました。白衣の天使になろうとしている看護婦さんもきっとたくさんいるのでしょう。ただ、ナイチンゲールの誓詞の一節に「心より医師を助け・・・」がある。看護婦さんに期待する前に、まず、自分自身が患者さんや看護婦さんに信頼される医師になるのが先決ですね・・・。