高齢者の終末期とは? | ||
高齢者のターミナル・ケア(終末医療)を考える時期は、『経口摂取が出来なくなったとき』と考える 医療従事者が多い。私も基本的には賛成ですが、 経口摂取が出来ないといってもそれが、本来の意味の終末期であるというわけではありません。どのような身体状況のときに 経口摂取が出来なくなるか考えてみましょう。 | ||
1 | 急病 | 急病で全身状態が悪化し、食べられなくなった状態 |
2 | 慢性疾患の急性増悪 | 慢性疾患の急性増悪により食べられなくなった状態 |
3 | 慢性疾患の進行 | パーキンソン病などの神経疾患、脳血管障害後遺症、腎不全・心不全・呼吸不全などのゆっくりとした増悪 |
4 | 認知症の増悪 | 認知症がすすみ、摂食・嚥下障害により経口摂取が困難になってきたとき |
5 | 老衰 | 全身の機能が低下して、食事がとれなくなってきたとき |
この表で、1、2はたとえ高齢者であっても、 最善の治療がなされるべきであるが、基礎疾患などがあり、生命の危険が大きい場合や、たとえ、今回治癒しても、もとの 状態にもどれないと予想される場合、尊厳死を含め、ターミナル・ケア(終末医療)を考える時期と思います。 3、4は経口摂取が出来なくなったといっても、何らかの方法で栄養が補給されれば、生命は維持されうると考えられる。 5の老衰とは治療しても生きていけない状態を意味するが、現実的には判断はむずかしい。 本当に老衰状態か判断不能。老衰が進んでいると思えても、 適切な栄養、水分の補給で体調を戻し、さらに長生き出来る方がたくさんいる。 したがって、本来の意味(狭義)の終末期とは、3、4、5の状態に1、2の病状で、生命の危険を伴っている場合である。 一般に3,4、5で終末期と考える立場は生命の観点からでなく、そこには経口摂取できなくなったら 『人間』として最期 であるとの考え方で、もう安らかな死を迎えさせてあげようとの気持ちある。 しかし、この状態で適切な栄養がを与えないことは、命を縮めることで、安楽死と判断される。 特に、いったん経管栄養を開始し、その後抜去し、死亡した場合などは現在の法律では殺人罪に問われる可能性があるだろう。 法律的に3,4、5を広い意味での終末期と考え、条件を満たす場合は「安楽死」を認めていくべきとの考え方がある。 これらの関係を図示するとつぎのようになる。 |
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