救急医学会 終末期医療についての指針発表

ー 終末期には延命中止容認を ー




 この指針では、救急の現場で「適切な医療の継続にもかかわらず死期が間近に迫っている状況」で、以下のいずれかの状況を「終末期」と定義する。

 @不可逆的な全脳機能不全(脳死診断後や脳血流停止の確認後)と診断された場合
 A生命が新たに開始された人工的な装置に依存し、生命維持に必須な臓器の機能不全が不可逆的であり、移植などの代替手段もない場合
 Bその時点で行なわれている治療に加えて、さらに行なうべき治療方法がなく、現状の治療を継続しても数日以内に死亡することが予測される場合
 C悪性疾患や回復不可能な疾患の末期であることが、積極的な治療の開始後に判明した場合

 複数の医師により、客観的に「終末期」と判定された場合、家族との了解のうえ、中止できる具体的医療内容としてつぎのものを考えている。

 @呼吸器や人工心肺などの中止、取り外し
 A人工透析などを行なわない
 B呼吸器の設定や薬剤の投与量などを変更
 C水分、栄養補給の制限や中止

 治療を続けても間もなく死亡するのなら、あえて急いで治療を中止する必要もなさそう。これは実際の医療現場で行なわれている治療中止行為をはっきりと容認しようという意味をもっている。 延命治療の大きな問題は、長期の延命治療を受けている患者さんの問題である。まず終末期の場合から容認してゆくのは、今後の第一歩としては価値あることかもしれない。(修正A 平成19年10月24日)