衰える高齢者への対応





 この朝日新聞の記事は、高齢者の病気への対応の難しさを簡潔に記載している。実際に診療していると、入院中であっても、対応に苦慮することも多い。一方で、厚生労働省は在宅医療を進め、自宅での看取りを望ましいと推奨する。それは医療費を少なくすることが主眼であることは明らか。看取りまで考えた在宅医療が行なおうとすれば、現実に自宅で看取れるのはごく一部の恵まれた家庭であり、多くの人は家族の犠牲の上に療養を続けることになる。医学的な適切な判断も難しいだろう。すべての原点は「生命の尊厳」であり、命を粗末にする考えは認められない。「尊厳死」も「安楽死」も命を大切にする観点からはじめて認められるものであろう。