川崎協同病院の筋弛緩剤事件

 気管支喘息で意識不明になった患者に対し、医師が筋弛緩剤を投与、
死亡させたとして殺人罪で起訴されている事件。




 この患者の状態は植物状態に近いようだが、まだ生きられる状態と考えられる。 筋弛緩剤の投与で命を縮めたのは明らか。主治医の気持ちは理解できるが、殺人と判断されても仕方なし。 安楽死や尊厳死としての要素をどの程度認めるかが争点と思う。


判決 主治医の殺人と認定

 医師の「自然なかたちで看取りたいという」気持ちから、独善的判断で治療を中止、
筋弛緩薬を投与し、患者を死亡させた。




高裁判決: 家族の要請を認めて減刑

 「家族からの要請で決断を迫られ、非難するのは酷な面がある」



 私としては納得のいく判決に思う。また、新聞のコメントの二人の先生の意見もよく理解できる。
現在、終末期医療を法制化しようという動きがあるが、いろいろ難しい問題がある。かえって尊厳死を制限する方向に進む心配がある。
 終末期医療のあり方は、広瀬先生のいうように、「患者か患者に近い人の意思を尊重する。」のがもっとも妥当であると思うし、片山先生の 言うように、「治療中止を殺人罪として捉えるのは疑問で、、医療は人の痛みへの共感で成り立つ。」と言う意見には全く賛成である。 「終末期マニュアル」と「各種同意書」を片手に患者を看取るなんてまっぴらだ。