は じ め に


 平成15年10月、私は一般病院から一般に老人病院といわれている 介護・療養型病院に勤めることになりました。介護を中心とする高齢者医療に携わるにあたり、 尊厳死をふくめた終末医療を真剣に考えなければならないと考え このHPを開設しました。

 いままでも、私は内科医として、縁あって、多くの方と出会いそしてたくさんの方の死を看て来ました。 医師として、最初に看取った人は大学で研修していたときの 白血病の方でした。その死は痛烈な印象でした。 その後、しだいに死に慣れていったと思います。 しかし、避けられない死とは思っても、あの時、ああ治療すべき だったかもしれないという、自責の念が浮かんできます。 だから、出来るだけ死んだ方のことは忘れたいと思ってきました。 しかし、亡くなった方のことは完全には忘れることはできません。 ふとした瞬間に、哀しく思い出されることがあります。

 そんな人々の中に、私に死というもの、命というものを教えてくださって、 逝った方がたくさんいます。尊厳死を考えるにあたり、このHPでその方の思い出を残したいと思います。 随想として書き始めましたが、いろいろ問題を含んでいます。

    @故人のプライバシーの問題がある
    A記憶があいまいで、正確でない
    B事実を美化し、訴えたいことを強調している
    C医師としての自分を擁護している
    D医学的や法律的に問題のある内容がある

   いろいろ考えた末、プライバシーを守るために、患者さんのことは 創作として書くべきであるとの結論に達しました。したがって、書かれた内容は、 もしかしたら似たようなことが現実に起こりうるかもしれない出来事と考えてください。

 尊厳死、安楽死については、自分なりに考えた意見を述べています。甘い考え、間違った考えも 多々あると思います。また、その考えは次第に変わっていくかもしれません。 私は、尊厳死・安楽死の考えにそって医療を行いたいと思っていますが、実際の現場において、どこまでが 医師の裁量として認められる範囲か不明です。 最近はますますその裁量の範囲が狭まってきているように思います。

 自分の勉強のために始めたHPですが、皆さんのご意見も聞かせていただけたら幸いです。

    平成17年11月23日      山 本 公 雄 (やまもときみお)

                 略歴  札幌医科大学卒業 内科医
                 現在 医療法人 勉仁会  東小樽病院 副院長