No.59:"瓔珞みがく" 編曲:山本公雄(2002.4.8) 

 演奏 
 歌声 

瓔珞(ようらく)みがく

 この歌は山の歌ではありませんが、深田久弥著「日本百名山」の大雪山の中で、 層雲峡についての説明として、次のように紹介されています。
 「北大寮歌に、瓔珞みがく石狩の・・・・・・ と歌われた頃に、この渓谷 を探ったパイオニアたちの、何と幸福だったことか。」

 ここでいうパイオニアたちとは大島亮吉らのことでしょう。大島亮吉は、 トムラウシ山、石狩岳をのぼり、石狩川の源流を層雲峡まで下っています。 (『山の随想』参照)この寮歌の歌詞は彼らのことを歌っていると推測しています。  瓔珞みがくとは石狩川の流れで磨かれる石や滑滝の岩のすばらしさを 瓔珞(美しい石の首飾り)にたとえたものです。

 北大恵迪寮(けいてきりょう)では明治40年の開寮以来、 毎年、寮生で寮歌を作っています。その中で、もっとも有名なものが明治45年の「都ぞ弥生」です。 「瓔珞みがく」は正式には大正9年の桜星会歌とのことですが、寮歌として愛唱され、記念碑が北大植物園に建てられています。 この歌には「これこそ寮歌だ。」というような雰囲気があります。


           瓔珞みがく(大正9年、北大寮歌)
                         作詞 佐藤一雄
                         作曲 置塩 奇


 1 瓔珞(ようらく)みがく石狩の
   源遠く訪ひくれば
   原始の森は暗くして
   雪解の泉玉と湧く
          
 2 浜茄(はまなす)紅き磯辺にも
   鈴蘭薫る谷間にも
   愛奴(アイヌ)の姿薄れゆく
   蝦夷の昔を懐(おも)ふかな
 
 3 今円山の桜花
   歴史は旧(ふ)りて40年
   我が学び舎の先人が
   建てし功はいや栄ゆ
 
 4 その絢爛(けんらん)の花霞
   憧憬(あこがれ)れ集ふ四百の
   健児が希望(のぞみ)深ければ
   北斗に強き黙示あり

    (途中 略)

 8 想を秘めし若人が
   唇かたくほほえみつ
   仰げば高く聳え立つ
   羊蹄山に雪潔し