No.83:「お母さんごめんなさい」 編曲:山本公雄 

 演奏 
 歌声 

お母さん、ごめんなさい

 涙で歌った「お母さんごめんなさい」  夏山シーズンを迎えて、浜田光夫さんの新曲「お母さんごめんなさい」が話題をよんでいます。 この春、北海道の日高山脈を縦走していて、なだれのため6人の北海道大学山岳部員がなくなりましたが、そのときのリーダー沢田義一さん(23)が死の直前に書きのこした遺書がテーマ。 吹き込みのとき、思わず涙を流した浜田さんは、「せめて、この歌をきいた人が二度と、こんな悲しい事故を起こさないように、気をつけてくだされば、なによりです」と、しみじみ語りました。 浜田さんのセリフが、いっそう歌の調子を盛り上げています。(昭和40年)

 この曲は当時、吉永小百合さんとのコンビで大変人気のあった浜田光夫さんが歌った曲で、聴いた事があります。 永らく忘れていましたが、東京近郊に住むKさんから、40年も前のこの歌の譜面と歌詞の切り抜きを送っていただきました。Kさんは弟さんを山の遭難で亡くしたそうです。

この遭難については、『山の随想』の「雪の遺書」に掲載しています。
*「雪の遺書」をみる*


           お母さん、ごめんなさい
                      
                        渋谷 郁男 作詞
                        野崎 真一 作曲


1.春の雪崩の 底深く
  生きられるだけ 生き抜いた
  残る生命(いのち)を 思い出を
  山岳地図の裏側に
  綴って居ります お母さん

       「お母さん、本当にごめんなさい。今まで育ててくれたつぐないを
      なせずに先に行ってしまうなんて……。お母さん、今死んで
      しまうなんて残念だ。折角背広も作ったのに……」

2.山の仲間の 呼び声が
  渓谷(たに)の谺(こだま)を 誘うまで
  遙か日高の 雪の下 
  最後の力 ふりしぼり
  頑張り抜きます お母さん

       「妹達へ。さきに死んでしまってごめんよ。お母さん、お父さんは
      これからお年寄りになっていくのですから、二人仲良くして
      お兄ちゃんの分もめんどうをみてやってください。お姉さん。
      お母さん、お父さんの事をよろしく。」

3.星の降る夜(よ)は 星になり
  雲の飛ぶ日は 雲になり
  たとえこのまま 別れても
  お側で何時(いつ)も しあわせを
  祈って居ります お母さん