オプタテシケ山 2012.7m


第一日 白金温泉登山口ー美瑛富士避難小屋ー美瑛富士往復
第二日 美瑛富士避難小屋ーオプタテシケ山ー白金温泉登山口


  旭岳           トムラウシ山  石狩岳      ニペソツ山

( オプタテシケ山からの展望 )

平成17年 8月13日ー14日 晴  山本公雄・洋子
 第一日 白金温泉登山口(9:30)ー(11:00)天然公園ー(13:30)美瑛富士避難小屋(13:55) ー(14:20)美瑛岳・美瑛富士分岐ー(14:55)美瑛富士山頂(15:00)ー(15:20)分岐ー(15:50)美瑛富士避難小屋(泊り)
第二日 美瑛富士避難小屋(4:30)ー(5:40)ベベツ岳ー(7:00)オプタテシケ山頂(7:20)ー(8:40)ベベツ岳 ー(9:50)美瑛富士避難小屋(10:05)ー(11:30)天然公園ー(12:45)登山口銀泉台登山口

   登り 登山口から小屋まで4:00 小屋からオプタテシケ山まで 2:30
   下り オプタテシケ山から小屋まで 2:30 小屋から登山口まで 2:40 

 オプタテシケ山、いつも登ろうと計画していたが、実現出来なかった山。十勝連峰の最も大雪寄りにあり、 トムラウシへとつづく山だ。この山をとおり、十勝ー大雪の縦走は多くの登山者のあこがれのコースである。 縦走は無理としても、北海道の2000m以上の山でまだ登っていない最後の山がオプタテシケである。 ついに、長年の夢が実現する。

 第一日。9時に白金温泉に入る。登山口への林道には扉があり、鍵がついている。前もって森林管理事務所で 聞いておいた鍵の番号で開ける。駐車場まで簡易舗装されている。駐車場は10台以上の車のスペースがある。 すでに4台の車が止まっている。思ったより少ない登山者だ。
 われわれは今日は避難小屋泊り。宿泊の道具(コンロ、懐中電灯、寝袋、食料、その他)はかさばる。そして、 水場がないので、約6リットルほどの水をもっている。日帰りと比べ、今日の荷物は大きく、重い。
 登山口の入山届けに記入し、15分ほど林道を行といよいよ登山道に入る。エゾマツの原生林がつづく。 なだらかな登りだが、道は悪くない。  

 
(広い駐車場)     (エゾマツの原生林)

 ゆっくりと行く。1時間30分ぐらいで、石とエゾマツの天然公園につく。確かに風情のある日本庭園風。 しかし、重い荷物を持って巨石の上を歩くのはけっこうつらい。公園を過ぎると、道は美瑛富士をトラバースしている。 ハイマツの道にアザミの花が咲いている。ここのアザミはきれいだ。

 
(  天然公園  )  ( ミヤマサワアザミ )

 さらに進むとチングルマのお花畑に出た。エゾツツジも咲いている。水無川の源流、 その名の通り、水はない。すこし花の盛りを過ぎているが、お花畑はまだきれい。疲れた体を癒してくれる。

  
(お花畑 チンクルマがきれいだ 山の美少女:エゾツツジ)

 左手に石垣山がだんだんおおきくなる。ふいに、ハイマツの切れ目から小屋が現れた。着いた! この避難小屋は石垣山と美瑛富士のコルにある。避難小屋の中はわりときれい。10人ぐらいならゆっくり寝られる広さ。荷物は誰も置いていない。 今日は僕達以外に泊る人はいるのだろうか?

 
(石垣山)        (美瑛富士避難小屋)

 少し休んで、荷物を置き、美瑛富士目指して出発。途中に雪渓とお花畑があった。チングルマがなかなかきれいだ。水を補給。

(雪渓とチングルマのお花畑)
 
 美瑛富士の登り口は美瑛岳の登り口と十字路になっている。標識から右折し 美瑛富士山頂を目指す。振り返ると美瑛岳への登りはつらそうだ。

   
(美瑛富士山頂への道) (美瑛岳を振り返る)

 山頂に着く。明日登るオプタテシケ方面を見る。暗雲が立ち込めている。 さて、どうなることか。不安になってくる。

 
  (美瑛富士山頂よりオプタテシケ山方面を望む)

 小屋へ戻る。誰もいない。今日はこの小屋に泊るのは僕達だけかな?夕食を食べ始める。 簡単にコンビニの稲荷、海苔巻き、漬物。それに、ガスコンロでコーヒーを沸かして飲む。
「うん! 山のコーヒーはうまい。」
 突然、小屋の扉があいて年配の夫婦登山者が顔を出した。
「水場はどこですか?」
「美瑛岳の方へ、20分ほど先の雪渓のところで汲めます。」と、僕が答える。
「どこから来ましたか?」
「トムラウシの南沼から」
「すごいですね。」
夫婦登山者は小屋の外にテントを張り始めた。ここの小屋のほうが快適なはずなのに。 よっぽど、山慣れしているのだろう。テントを張り終えたご主人はリックを背負って 水汲みに出かけた。結局、本日の泊りは小屋の中の僕達とテントの二人の4人になった。 明日の朝は早い。早々に寝袋にもぐりこんだ。

 4時に起床。朝食とコーヒーを飲む。アタック用の荷物だけ持って、4:30出発。誰も居ない山道を登り始める。 天候は晴れ。石垣山の途中から振り返ると美瑛岳が大きく聳える。 美瑛富士に石垣山の影がくっきりと映っている。


(美瑛岳(左)と美瑛富士。 美瑛富士に映っているのは石垣山の影)

 ヒンヤリとした朝の空気の中、オプタテシケを目指す。右手遠くに東大雪の山が浮かぶ。
「あれは、一緒に登ったニペソツ。その右はきっとウペペサンケだよ。」僕の心は高ぶる。

    西クマネシリ山           ニペソツ山               ウペペサンケ山

( 東大雪の山々 )

 石垣山を越え、べべツ岳に着く。オプタテシケ山は前のピークの奥に見える。 コルに下りいよいよオプタテシケ山への登りだ。


(べべツ岳からオプタテシケ山を望む)

 少し疲れてきたが、もう少しで念願のオプタテシケに登れると思うと、 うきうきしてくる。ついに山頂に着く。もちろん、だれも居ない。正面の双頭峰がトムラウシ山だ。 この山は見る場所で山の形が変わる。


(オプタテシケ山頂からトムラウシ山を望む)

   トムラウシへの縦走路が眼下につづく。はるか遠く険しそう。 本当にあそこまで道がついているのだろうか?  旭岳、白雲など表大雪の山も見える。若いときにトムラウシーオプタテシケの 縦走をしておけばよかった。ちょっと悔いが残る。
 振り返ると、登ってきた山々が雲に隠れようとしている。 台形の形をした美瑛富士の雲の下のコルにある小屋から今日は登り始めた。ずいぶん登ってきたものだ。


          美瑛富士
            べべツ岳

(登ってきた山々を振り返る)

 少し休んで、心残りはあるが下山開始。べべツ岳の稜線で小さなテントを張っていた若者が登ってきた。
「やー、昨日は疲れて、あそこでテントを張ったよ。」
「どこまで行くの?」
「旭岳まで。」
「すごい。頑張って」
 若者に記念写真を撮ってもらう。雲が上がってくる。

  
( 美瑛岳をバックに記念写真 )

ゆっくりと花をみながらのんきに下る。 この稜線はチングルマは花はおわって、ひげ状態のものが多い。イワキキョウ があちこちに咲いている。白いイワキキョウも見つけた。ピンクのコマクサも見つけた。

  
( イワキキョウ )      (白花 イワキキョウ)


  
( コマクサ )

 べべツ岳を下るころになると、下から登山者が登ってくる。 日帰り登山者だ。10人くらいがどんどん登ってくる。いままでの静かな山が急ににぎやかになってきた。 オプタテシケ山は健脚登山者なら十分日帰りできる山なのだ。
 


(美瑛岳を背に登ってくる登山者)

 小屋に戻り、置いておいた荷物を詰めて登山口へ下山。登るときは、荷物が重く、つらかったが、 下りは荷物も軽くなり、いたって元気に下山する。白金温泉で温泉で汗を流しつつ、 2日間の山旅を振り返った。
  
 
感想 :   オプタテシケ山はすべてのガイドブックでは1泊すべき山として 紹介されている。しかし健脚登山者なら十分日帰りできる山で、今回の登山でも泊っているのは僕達だけであった。 (トムラウシ温泉からトムラウシ山往復と同じくらい?) 僕達は美瑛富士も登りたかったし、体力も自信がなかったので1泊2日の予定とした。  問題は水場で、今回は美瑛岳へ向かう途中以外は水はなかった。この山にはしっかりした水場はなく、雪渓の水が 頼りで、登る時期、季節によって汲める場所は異なるようだ。
 オプタテシケ山は富良野・美瑛から十勝連峰の左端に特徴ある姿を見せる。奥深い山で実際に登っても本当に奥深い。 ずいぶん開発され、登山者が多い表大雪、十勝の山で一番静かな山だと思う。ついに念願の山に登ることが出来た。