表大雪・北鎮岳


 大雪山・黒岳―北鎮岳―比布岳―安足間岳―当麻岳縦走

     (1984m) (2244m) (2197m)  (2194m)   (2076m)

平成13年7月29日(日)  晴れ 山本公雄・洋子
層雲峡ロープウェイ(6:50)― 黒岳7合目(7:25)―黒岳山頂(8:35)− (8:50)黒岳石室(9:00)−(9:50)お鉢平展望台(10:00)―北鎮岳分岐(10:30)− (10:50)北鎮岳山頂(11:05)―(12:10)比布岳山頂(12:25)−安足間岳山頂(12:35) ―(14:00)当麻乗越(14:10)−沼ノ平(15:15)−(16:25)愛山渓                               全行程  9時間
 表大雪でまだ歩いていない尾根、それが北鎮岳から愛山渓へ下る2000mの稜線である。 天候は申し分ないが、体調は二人とも、必ずしもよくない。まずは、北鎮岳までの目標で 登山開始。夏の最盛期にもかかわらず、ロープウェイはすいている。 リフトを乗り継ぎ7合目まで行く。 最初の登りは急である。層雲峡の反対側にひろがる北大雪の山並みを振り返りながら、 ゆっくり登る。黒岳は3度目の登山、いつものように雄大な表大雪の山々が迎えてくれた。 いつ来ても大雪は広い。
 黒岳から、北鎮岳までの雲の平は高山植物の花の道だった (写真上)。チングルマ やツガザクラの群生が美しい。コマクサもかなり多い。学生時代、7月の上旬にこの道 を歩いている。多分、当時のほうが花は多く、美しかったに違いないが、若かったのだろう、 花の記憶はおぼろである。
 お鉢平展望台でしばし休憩。険しくはない、なだらかな曲線のお鉢の淵に座ると、なぜか心が安らぐ。 学生時代に大きな感動をもって眺めたこの景色にまた会えた喜びのせいなのか。
 そこから約一時間の登りで北鎮岳の山頂に着く。旭岳に次ぐ、北海道第2の高峰だ。右手に旭岳、 広大な台地のはるかかなたにトムラウシ山が見える。これが大雪の姿だ。振り返ると鋸岳、比布岳、 安足間岳が連なり、鋸岳をトラバースして比布岳へ続く登山道がはっきりみえる。 (写真中) 稜線の北側は鋭く切れ込み白いガスが立ち込め、愛別岳は全く見えない。二人の体調は大丈夫だ。 黒岳へもどらず、愛山渓へ下ることとする。
 北鎮岳から愛山渓へ向かうと、急に登山者が少なくなる。表大雪はどこに行っても人が多いがここは違う。 遠く離れて前後に人影が点在するだけだ。登りやすいコースが多い表大雪の中で、このコースは体力が要求され、 敬遠されているのだろう。なだらかな下り道。鋸岳をトラバースして、比布平に着く。黄花石楠花が咲いている。 比布岳への登り、すこし足の疲れを感じる。比布岳山頂に着く。安足間岳との稜線は茶色の火山灰のやせ尾根で 右側は切れ込み、白いガスが湧き上がっている。稜線を安足間岳に向かう。間もなく愛別岳の分岐に着く。 大雪ではめずらしい鋭い岩峰の愛別岳がその先にあるはずなのに全く見えない。のぞきこむと、 滑り落ちそうな急斜面に踏み跡がある。踏み跡は数メートルでガスに消え、その先はどうなっているのか見当もつかない。 愛別岳はまだ登っていない。登りたい山だが、今日はとても足を進める気にならない。稜線を慎重にたどり安足間岳に着く。 短い距離だが、少し緊張した。
 安足間岳からは永山岳経由と当麻岳経由の二つの経路があるが、よりお花畑が美しいといわれる当麻岳のコースを選ぶ。 なだらかな下りの尾根道だ。尾根は晴れているが、尾根の両脇は白いガスが立ち込め、大きく見えるはずの旭岳も見えない。 チングルマの群落が一面に咲き (写真下)、コマクサの群落も見つける。人影はますます見えず、静かな山旅となる。
 当麻乗越から沼の平へ向かう。この道はひどかった。ぬかるみの上に笹が覆い転びそうになる。 沼の平にはワタスゲが点在していたが、山が雲に覆われているので展望は期待はずれだった。さらに愛山渓まで、 悪路のつらい下山となった。当麻乗越から姿見の池を通り姿見の池へむかえば、大雪最大のチングルマとエズコザクラの 大群落に会えることはわかっていた。しかし、車は層雲峡に置いてあり、愛山渓に戻らねばならなかった。 心残りもあるが、花の大雪を十二分に味わうことの出来た山旅であった。(おわり)
アドバイス:このコースは時間はかかるが登りが少ないのでつらくはない。 姿見の池へ向かうと裾合平のお花畑、愛山渓に向かうと沼の平の湿原を通る。 当麻乗越からは姿見の池へコースをとるほうが快適と思う。