恵庭岳 1319.7m


登山口ー恵庭岳ー登山口

平成14年 9月23日 晴れのち曇り  山本公雄
 登山口(10:35)−−−4合目(11:15)−−−(11:55)6合目−−−(12:20)第1見晴台(12:25) −−−(12:55)第2見晴台−−−(13:20)山頂(13:35)−−−第2見晴台(13:55) −−−(14:20)第1見晴台(14:40)−−−4合目(15:30)−−−(16:00)登山口
登り2:45 下り2:05 全行程5時間25分(主な休憩:35分)
 恵庭岳は、千歳ー札幌間の国道から、千歳に向かって、右手にピラミッド型大きく見えるので、 すぐわかる。僕は、毎日、通勤の車の中から、いつも眺めている。「今日はきれいにみえるな・・・。」 そこから一日がはじまるのである。 恵庭岳は風不死岳と対座し支笏湖に聳えている山だ。 山の名前は、アイヌ語で「エ・エン・イワ」(頭の・とがった・岩山)で、これから「恵庭」の 地名が生まれた。活火山で、いまでもわずかではあるが、噴煙(水蒸気)をあげている。 若いとき一度登っているが、この山は単調な登りが続くので、おっくうで、足も遠のいていたが、 最近、山頂が崩れてきていて、山頂付近は登山禁止と聞く。 早く登らなければ、もう登れなくなったら大変と、再び登ることにした。
 さて、どこまで登れるか、不安な気持ちで向かう。札幌ー支笏湖線を車で走ると、 支笏湖に近づくにつれて、その岩峰が現れてきた。  (写真右上:札幌ー支笏湖線から見る恵庭岳の岩峰) ここからはピラミッド型には見えないが岩峰はみごと。  午前10時過ぎ、札幌ー支笏湖線の道脇の駐車場兼登山口に到着。すでに、5−6台の車が駐車してある。 広い場所で、駐車スペースには困らない。準備をして、出発。広い道を進む。 すぐに、「第2見晴台より上は登山禁止」の看板が立っている。さてどうしようか、考えてしまう。とにかく、 行けるところまで行こう。
 防砂堤の横から、登山道に入る。しばらく、とどまつの樹林帯を進む。いたるところに ツバメオモトが黒い実をつけている。春なら白い花が可憐に咲き乱れているだろう。4合目を 過ぎるといよいよ、急な登りとなる。広葉樹帯にかわり、だいぶ紅葉が目に付く。 ちらちらと、木の間から支笏湖が見える。 葉も相当落ちているのだろう。いつも感じることだが、秋の山は明るい。単調な登りが続く。 この登りが一番つらいところだろう。やがて、長いロープ場に着く。 登りと下りが別のルートとなっている。それほど急な斜面ではないが、 このロープは雨などで濡れている場合はずいぶん助かると思う。  ロープ場を過ぎるとまもなく急に視野がひらける。爆裂火口の第1見晴台だ。 硫黄の臭いがする。山頂の岩峰が見える。支笏湖が見える。白い墳煙が見える。 ここはなかなかいい。いままでのつらさが吹っ飛んでいく。
 (写真左上:第1見晴台から見る爆裂火口と山頂の岩峰)
 少し休んで、登山再開。爆裂火口淵の裏側に道が続く。第2見晴台に着く。だいぶ山頂の 岩峰が近くみえる。このには登山禁止の看板がたっている。  (写真左:登山禁止の立て札) 気になっていたので、途中で、下山してくる登山者に山頂まで登れるかと聞いてみると、夫婦の登山者のご主人は 「それほど危険なく、山頂まで行けた。」とのこと。奥さんは「第2見晴台で待っていた。」と話していた。第1見晴台で会った 若い二人づれの女性グループは「3度目の恵庭岳だが、毎回山頂まで登っている」という。 「禁止の看板は子供だましだ。」と笑っていた。どうしても、前に登ったときの山頂からの360度の展望が忘れられない。 登山禁止ロープをくぐり、山頂をめざす。山頂の岩峰直下をトラバース、ここは落石注意だ。  (写真右2枚:見上げる岩峰とその下の登山道) このあと、簡単な岩登りの部分があり、山頂のすぐ手前の崖淵を注意深く登ると山頂に着いた。
 山頂にはもう誰も居ない。正面に風不死岳が聳え、一部樽前山と重なっている。秘湖・オコタンペ湖は 青く澄み、その上に遥か、羊蹄山が、左手に尻別岳、右手にニセコの山をしたがえて聳えている。 本当に素晴らしい眺めだ。ここまで来なければ、恵庭岳のよさはわからない。前に登ったときも 天気はよかった。樋田君と二人で感動したことを思い出す。静かな山頂でなつかしいひと時を過ごす。
 いよいよ、下山。ふと、「もう来ることはないかもしれない。」という思いが浮かんでくる。 これ以上、山が崩れると、本当に登れなくなる。この山はやはり山頂まで登らなければ味気ない。 第1見晴台でややひと時、爆発裂口の展望を目に焼きつけ、あとは色づいてきた秋の山をゆっくり下山した。
 (写真下左:山頂から見る支笏湖と風不死岳)     (写真下右:山頂から見るオコタンペ湖と羊蹄山)
アドバイス: 現在、第2見晴台より上は登山禁止となっているが、 実際は多くの人が、山頂まで登っているようだ。僕自身も負い目を感じながら、禁止を無視し、山頂まで登った。 正直な感想としては、ほかの山と比較し登山を禁止するほど危険とは思わない。 危険と思われる場所は、岩峰の下を通るときの岩板の崩落と、山頂への最後の登りの崖淵の部分であろう。 とくに、最後の崖のところはロープもはってあるが足元からくずれれる心配もありそう。 できれば少し、内側にルートを移動したほうがよさそう。そうすれば 登山禁止も解除できそうな気がするが、実際はいろいろ困難な問題があるのかもしれない。 もちろん、勧告に従うのが登山者の義務であり、安全であるのは当然ではあるが。