スカビオサ(西洋マツムシソウ)

マツムシソウ科


*花名由来*

 スカビオサは、疥癬(かいせん scabies)という皮膚病の名前にもとずく。疥癬とは、ダニの種類の疥癬虫(体長0.2−0.5mm)が 皮膚にもぐりこんで生じる病気で、かゆみがひどい。戦前の衛生状態の悪いときは、よく発生したという。 現在でも、寝たきりの人が多い施設や、病院で集団発生して、介護職員やその家族まで伝染し、 大騒動となることがある。 この種の植物が皮膚病に効くことにより名づけられたというが、 こんなかわいい花なのにかわいそうな名だ。
 日本では同種のものをマツムシソウという。この由来については、 @マツムシが鳴く頃に咲く、または、マツムシが鳴く頃まで咲く。 A巡礼の仏具 松虫鉦(かね)または、歌舞伎の松虫鉦に似ているから。 B大阪・住吉の松虫塚のあたりに咲いていたから。 などの説があるという。いずれにしても、夏から秋に咲く「マツムシソウ」、この日本名は、同じ虫は虫であっても、趣があっていい。 さて、童謡でもうたわれているように、松虫の鳴き声は「チンチロリン」といわれるが、 平安時代は、現在の鈴虫を松虫と呼んでいたようである。すると、「リーンリーン」。 あなたが聴く、マツムシソウの音色はどちらでしょうか?