クンシラン

ヒガンバナ科


*花名由来*

 我が家でも洋ラン(カトレアなど)を育てていたことがあるが、冬の温度と湿度の 管理がうまくできず、よく育たなかった。その中で君子蘭だけは毎年、元気に花を咲かせ子株 も増え、人にあげたりしている。それもそのはず、君子蘭はラン科の植物ではなく、南アフリカ 原産のヒガンバナ科の植物である。この種の花で、最初に輸入されたのが、クリビア・ノビリス(Clivia nobilis) という花で nobilis(高貴な)から和名として君子蘭と名づけられたという。ところが、これは花が下向き に咲き、人気がなくすたれ、次に入ってきた クリヴィア・ミニアタ(Clivia miniata 赤く色づけられた) は ウケザキクンシランと名づけられたが、一般にはこちらを君子蘭と呼び、人気の花となってしまった。 いまでは君子蘭はクリヴィア・ミニアタ(Clivia miniata)をさし、間違った名前がそのまま流通しているのである。
 さて、ランと名のつく花は多いが、必ずしもラン科の花ではない。 すでに述べたように クンシランはヒガンバナ科。スズランはユリ科。 花のところが折鶴に似ているので名づけられたオリズルラン(写真右)もユリ科。 もともと「蘭」というのは中国の言葉で、「万葉集」や「源氏物語」にも蘭(ラニ)の名が出てくるという。 特に、「藤袴 フジバカマ」(キク科)は、「蘭草」とも 呼ばれた。これは中国から伝わった帰化植物で、半乾燥の葉は香料として用いられ、春の七草のひとつとなっている。 結局、「蘭」というのはもとは「芳香のある草や花に与えた名称」らしい。スズランはあてはまるが、 「クンシラン」「オリズルラン」では匂いはよくわからない。さてどうなっているのでしょう?