ボタンとシャクヤク

ボタン科

「美しい薬草」



*花名由来*

 「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と歌われるように 芍薬と牡丹は美しい花の代表。牡丹は木、芍薬は草であるが、ともに薬草としてまず、栽培されるも その花の美しさから観賞用に流行した。ともに美しい薬草なのである。
 牡丹(左上写真)は中国では「花王」と称され、唐の高宗の時代は牡丹の宴が催されるほどであった。 日本では奈良時代に薬草として入ってきて、鑑賞用として流行したのは江戸時代である。 渤海(フカミ)国から入ってきたので、古名はフカミグサといった。「牡」はオスのことだが、 強いを意味する。「丹」は赤いで、あわせて、強い赤い花を意味するという。
 芍薬も薬草として牡丹と同じ頃輸入され、栽培された。シャクヤク(右下写真)の「芍」とは 「鮮(アザ)やか」の意味である。言葉の上では 「鮮やかな薬」ということになるが、一般には「癪に効く薬」の意味と考えられている。癪というのは、よく時代劇ででてくる 強い腹痛発作のことだ。黄門様が癪の人に与える特効薬は芍薬だろうと思っているが、本来は 婦人病薬としてよく使われたらしい。
 、牡丹の根皮、芍薬の根は、現在でも漢方薬で実際に用いられている。 成分も分析され、実際に腹痛、月経痛に対する鎮痛作用も認められている。ほぼ、同じ成分のようだが、 消化管の運動調整作用として、芍薬はとくにいろいろな漢方薬によく用いられる。芍薬はギリシャやローマでも珍重されたというから、その薬効は世界的に 知れていたのかも知れない。