北の山の詩人・井田 清

 最近読んだ本『北の山の夜明け』(高澤光雄編)の一節に「北の山の詩人・井田 清」(清水敏一 執筆)がありました。 この井田清という人は草創期の北大山岳部で伊藤秀五郎らとともに活躍し、詩集『山』を 発表しているという。印象深い内容なので、本を抜粋させていただきました。(H15年4月19日)

 高澤光雄編:『北の山の夜明け』 日本山書の会発行 サッポロ堂書店発売(2002年)
 井田 清著: 『 山 』 山と雪の会発行 (1931年(昭和6年))


詩 集 『山』     井 田 清

 序 
 この詩集の序として、著名な武者小路実篤が井田に捧げた詩が載っている。井田と武者小路 との関係は不明であるが、山男としての井田を見事に表現している。


 詩 
 小樽赤岩の岩登りを詠んだものらしい。


あとがき

 札幌の六年余の生活をこの「集」にあつめた。自分の山好きさは、もう産まれた時から固く 決つてゐた様な気がする。私にはその山好きさだけが、本当の自分であるやうに思はれる。 「山の道」を歩いて居る間に、自分は何時の間にか放つ喰つた様な心持がしてならない。私は 今自分を固く守らなければならなくなつた。そして、自分の「山」といふ何かを、どうしても 生き抜かうと思ふ。
 だが、私は自分の山が何であるかを知らない。又、君の・貴君の萬人の心に宿る山が何であるか も知らない。併し、私の山といふのは恐らく私の山の好きさが、自分に贈つた・・・・・これから 先も自分に贈つて呉れる私の一生であらふと思う。


*ハムちゃんの独り言*
 詩集そのものも読まず、このような紹介記事を載せることは、軽率すぎると非難されても しかたありません。でも、この短い「あとがき」を読んだとき、強い衝撃をうけ、それを心にとどめたい 想いにかられ、急ぎこのページを作成しました。これを機会に井田清氏について注目して 行きたいと思います。それにしても、「自分の山好きさは、生まれた時から固く決まっていた。」 、「私の山というのは、・・・私の一生であろう」とは、すごい「山キチ」である。