ダニに咬まれる・・・ライム病が心配!

平成16年6月北海道夕張山系の芦別岳に登ったとき、ダニに咬まれてしまいました。
ダニに咬まれ吸血されたときのこと・・・その後の治療について



 
 尾根道の林の中を下っていたとき、右の首のあたりがジーンと痛みが走った。 蚊に刺されたかなと思ったがなかなか痛みが止まらない。もしかしたらダニ?心配が頭をよぎる。妻に見てもらう。なにもいないという。 10−15分後に痛みは消える。
 下山後、温泉に入る。気になっていたので熱めの湯に首までつかって長湯をする。 ダニがいるなら水死、もしくは熱傷死だ。翌日も風呂に入る。


 ところが、翌々日の朝、目を覚ましたとき、ふと左の首の付け根に違和感を感じる。触ってみると 柔らかいイボが触れる。びっくりして、鏡でみると5mm−1cmぐらいのイボが出来ている。 その周りは赤く腫れている。よく見るとイボの付け根に黒い足のようなものが見える。
  「ダニだ!  ダニだ!」 (右上図、この図は私のダニではありませんが全く同じ状態でした。)
  「 まずい! 無理に引っこ抜いてはいけないはず。」
その日の朝、知人の先生に診てもらう。
  「これは、ライム病の心配もあるので広めに切除し、縫合しましょう。」
 先生はメスを持ち、簡単に切除。
  「はい、無事とれましたよ。記念にどうぞ。」
と、言って切除したものをわたしてくれた。
(右中図、私のダニのホルマリン標本(シュルツェマダニ)。  右側の飛び出しているのが、虫体。水平な部分が切除した皮膚と皮下組織。)
 
  「ライム病の予防のため、多量の抗生物質を飲んでください。」
  「はい、わかりました。」
  ということで、通常量の2倍量のペニシリン系抗生物質を1週間服用し抜糸。 さらに2週間常用量の抗生物質を服用して治療を終えた。その後紅斑の再発はなく、無事治癒したようだ。

   

 ライム病  ダニがもっていたスピロヘータ・ボレリアという細菌が人の体内に感染して 発症することが明らかにされている。全世界、とくに北米で多数の患者が発生して注目されているという。 日本でも、長野、北海道で80例の報告がある。咬まれたあと、右の写真のような咬刺部を中心に遊走性紅斑が生じて、 しだいに菌が全身に波及し、神経炎、関節炎、心筋炎など多彩な症状が出現する。後期になると何が原因 なのか診断に苦慮する場合も多いという。
 今回咬まれたとき、なぜか逆側に痛みを感じたが、痛みを感じないケースも多いという。 いろいろ、ダニに咬まれたときの民間療法があるが、無理に引きちぎるとダニの細菌が多量に 体内に入るという。基本は皮膚を含めて切除すべきとのこと。 皮膚を含め切除され、抗生物質が投与されたケースではライム病の発症はないという。  シュルツェマダニは季候が寒い、長野、北海道地方で生息する。登山では特に心配。興味ある方は インターネットの検索でライム病を調べて下さい。たくさんの報告があります。なお、今回、 温泉でダニが死んだか、あるいは生きていたかは不明。ただ、吸血して太っていたことから考えると 、温泉につかっても死なないようだ。